イナカでのリモートワークは、イノベーションに取り組む大企業の新しい選択肢になる【コロナ新時代】

目次

まず、「日本の大企業はイノベーションに向いていない」という認識が大事

「イノベーション」が重要だということに異論の余地は無いでしょう。
そんな「イノベーション」を起こすべく、日本の大企業はめちゃくちゃ努力しているはずです。
それなのになぜイノベーションが起きないのでしょうか?

私は、日本の大企業を馬鹿にしたいというわけではなく、客観的に観察して、構造的な部分にきちんと絶望したうえで、まずは、「日本の大企業はイノベーションに向いていない」という理由を4点で説明し、その次に、「イナカで小さく自由にトライアンドエラーができるワークスペースの活用」という処方箋を提案してみたいと思います。

日本の大企業がイノベーションに向かない理由1「リターンを軽視して、リスクを重視する」

  1. 終身雇用と年功序列により、日本の大企業のサラリーマンは、リターンを取りに行くよりも、リスクを減らすインセンティブが強い。
  2. 日本の大企業は社歴が長いため、オーナー社長が少なく、内部昇進でトップが頻繁に入れ替わる。

イノベーションというものは、たくさん失敗して、たくさんの赤字を掘って、たくさんの紆余曲折を経ることで生まれてくるものです。
しかし、日本の大企業は、リターンを積極的に取りに行くよりも、平穏や安らぎの方が重要になりがちです。
また、社内の出世競争は熾烈で、加点方式よりも減点方式で評価が決まりがちです。

日本の大企業がイノベーションに向かない理由2「みんなで決める」

  1. 稟議をして、承認を得る。
  2. 特定の個人が矢面に立つ事業遂行ができない。

日本の大企業は、とにかくみんなで話し合います。承認プロセスも冗長です。
尖ったアイデアが採用されることはまれです。
また万が一尖ったアイデアが採用された場合でも、その尖ったアイデアを発言した個人に大きな権限や予算や時間が与えられることはさらにまれで、大抵の場合は余計な仕事が増えるだけになりがちです。

日本の大企業がイノベーションに向かない理由3「意味が分からないといけない。説明がつかないといけない。」

  1. 「俺に分かるように説明しろ」と言う人が必ずいる。
  2. リスクを定量化して把握したがる。
  3. 社内の上層や他部署など、専門外の人も含めた多数の理解を得られないと、人も予算も時間も与えられない。

日本の大企業では、とにかく「説明」と「説得」が必要です。
チャレンジには意味が分かることが必要で、リスクは定量化されている必要があり、スケジュールや主体が明確で、専門外の人でも理解できる必要があります。
その説明と説得だけで、非常に高いハードルです。
また、もし説明と説得が達成できたとして、そんな誰にでも分かりやすいチャレンジにイノベーションを起こす独創性はあるでしょうか。

日本の大企業がイノベーションに向かない理由4「イノベーションを起こせる人材の特異性や活かし方を理解していない」

  1. イノベーションを起こせる人材は「変人」であるという理解が足らない。
  2. 良かれと思って、「変人」の足を引っ張る。

イノベーションを起こせる人材というのは、簡単に言うと「変人」です。これは褒め言葉です。
とにかく毎日のようにイノベーションのことを考え、他人が興味や理解を示そうとしないような「変なこと」に、桁違いの情熱や意欲を発揮できる人です。
イノベーションには、「普通の人」が100人いるよりも、熱意のある「変人」が数人いた方が効果的です。

こうした変人は、変人ゆえに、一般的な人事評価では評価されていない可能性があります。
また、彼らを生かすには、とにかく「自由」が必要なのですが、変人に自由を与える日本の大企業はまれなだけでなく、彼らに本質的ではないルールや制約を課したり、空気を読むことを求めてしまったりしがちです。

愛知県豊田市の中山間地域、稲武(いなぶ)の町並みと自然

日本の「イナカ」のような遠くで、小さく、トライアンドエラーができる「環境」を確保する

これまで書いてきた日本の大企業がイノベーションに向かない理由1~4は、どれもすぐに解決するようなものではないです。とても根深い課題です。

ここで私が希望を提示するとすれば、私が住んでいる愛知県豊田市の山奥の稲武町、人口が2200人ほどしかいないイナカ、そんな遠くの場所に、一周回って可能性があると考えています。
大企業が、都市部から離れたイナカで、地域に密着した共創型のワークスペースを小さく構えるのです。地域の「課題」や「魅力」を実際に見て、実際に感じて、それを解決したり事業化する小さなトライアルをたくさん試すのです。
例えば、以下のようなものです。

  • 農林業:生産性向上、スマート農業、スマート林業、獣害対策
  • 防災、モビリティ:中山間地域版スマートシティ、MaaS、オフグリッド技術
  • 福祉、医療:DX、コミュニティナース・コミュニティドクター
  • 教育:DX、地域学校協働活動
  • 地域資源の活用、観光コンテンツ開発
  • 人材育成、チームビルディング

イナカの「切迫した課題」と「ワクワクする魅力」が、リスク回避志向を突破する

イナカには、課題がたくさんあるし、現実的に困っている人がいます。

そんな具体的な課題や、困っている人を目の前にすると、人間は自然と助けたくなるものです。
私たちには本来、経済合理性を越えたパブリックマインドや利他性のようなものが備わっていると思います。
都市部の本社のビルの中では、リスクと数字と稟議で頭がいっぱいになっていても、イナカに来ると、もっと人間の本来的な活力が刺激されます。

また、イナカには広大なフィールドがあり、自然を生かした楽しいアクティビティもあります。
稲武には、マウンテンバイクツアーや、キャンプ場、温泉、おしゃれな民泊などがあります。
金曜日にイナカでリモートワークをして、そのまま宿泊をして、土曜日にアクティビティを楽しむワーケーションも素敵です。
シリコンバレーの最も偉大なリソースは「カリフォルニアの青空」だと言う人もいるほど、人間にとって、自然を感じるリラックスと気分転換は重要なんだと思います。

リモートワークを活用して、イナカで、小さく、自由にトライアンドエラーをする

大きな投資をしようとすると、説明と説得が必要になり、すぐに成果や結果を求められてしまいます。
意味が分かる平凡なことしかできなくなってしまいます。

折しも新型コロナウイルスのおかげで、リモートワークが認められる大企業が増えてきました。これは大チャンスです。
本社から離れた遠いイナカで小さくワークスペースを持つときに、その拠点を利用する社員は、配属・配置転換ではなく、もとの部署に所属したままのリモートワークでワークスペースから仕事をするのです。
こうしたリモートワークであれば、人事的なハードルが低く、プロジェクトベースで集合と離散を繰り返すことができます。

イナカには、都市部の巨大な企業研究所や高層ビルでは想像もつかないような地に足のついた課題があり、圧倒的にニーズベースで事業開発が可能です。
日本の大企業は、自分たちの都合で作ったプロダクトやサービスがまずあって、それが当てはめられる課題を探しがちなのですが、ニーズから出発できるところに、イナカの小さなワークスペースの強みがあります。

その小さなワークスペースが、地域の人や地元行政、ローカルな企業、フリーランス、他の大企業も混じり合うような共創共遊空間であれば、さらにオープンイノベーションが加速します。

イナカのワークスペースでは「変人」が輝く

日本の大企業にも、実はイノベーションを起こせる変人はいるものの、普段は息を潜めているものです。
そんな企業内に潜むイノベーターも、リモートワークというたてつけでイナカで普段の仕事をして、そこで似た「匂い」がする仲間が見つかれば、何かトライしてみる気になるかもしれないです。

小さくトライアンドエラーを繰り返し、ニーズベースで始めたトライアル100個のうちの数個がうまくいけば、それでOKです。
現状の日本の大企業は、そもそも、ニーズから出発したトライアルを100個試すことができていないです。
そうして、イナカで小さく結果と実績を既成事実化することで、やがて大きなイノベーションに繋げていくのです。
また、「イナカを救う」という社会的要請は強く、小さなインパクトで、マスメディアに乗りやすいのも強みです。

日本の低成長や停滞、人や自然にかける過度な負担、社会の持続性への不安などの原因を、「資本主義」に求め、安易に資本主義を否定し、社会主義的な再分配だけを礼賛するというのは、もったいないと思います。
あくまで、資本主義によって、資本主義システムを癒やしていく方法があるのではないかというのが、この提案の特徴です。

INABU WORKSPACE リモートワーク体験会

豊田市稲武地区にて、テレワーク・リモートワークの体験会が開催されます。
イノベーションに問題意識をお持ちの方には、ご参加いただけると、刺激や発見がきっとあると思います。

リモートワーカーの聖地、自転車の宿場町「稲武(いなぶ)」

私は、2021年12月3日(金)、12月10日(金)、12月17日(金)いずれも参加予定です。

お申し込み:あいち豊田市電子申請・届出システム ※システムの利用者登録をしなくても体験会に申込みができます
https://www.shinsei.e-aichi.jp/city-toyota-aichi-u/profile/userLogin_initDisplay.action?nextURL=CqTLFdO4voY1HgGfrCDgTuNbyjRaxiaDlhDy51WbPs9rogcN%2BIS173a28DJCLqp82uiyirazFQTO%0D%0AFGxAlVVFVcH8apZwKOVSXS7wI7Tw2aL9mmrWDWyg0Bg0DnK%2FxBbOcFAlSYhGqUXx8uF0Ow2Tag%3D%3D%0D%0Ag6Hdgivd0q0%3D%0D%0A

「micu3」さんによる体験会の素敵な紹介記事はこちら

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愛知県豊田市の山奥、稲武町で300年以上つづく豪農旧家に生まれました。
東京大学を卒業し、大企業に勤務していたにも関わらず、イナカの家業を引き継ぎ、「いま旧家は一周回って面白い」「いまイナカは一周回って面白い」ということを発信します。

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